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今もこれからも、セクシャルマイノリティが安心して生きられる世界であってほしいものです。
以下、本編小説から彼女がカミングアウトするシーンでも引用しておこう。相手(本文中の「私」)はパウルです。
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そんな私の胸中を嘲笑うかのように、リョドルは一層楽しそうに笑い声を上げた。
いい加減に腹が立って、やっぱり追い出してやろうかな、なんて思い上がった矢先に彼は語った。
「はは……、君は、いい男だと思っていたが本当にいい男だな。ミョーネが惚れるだけあるよ。だけど残念ながら? 私とミョーネにそういう関係は一切無いよ」
「はあ?」
思わず私は眉をひそめた。
幼馴染みで特に仲が良くて、トレンティアから帰った時分にはまだお互いに若かっただろう、年若いしかも美男美女が、二人きりで魔道を研鑽し病気の治療までして、そんな関係がないなんて話が、
いや、そうだと言われればそうなのかもしれないが……、なんて急に冷静な気分にもなってきた。リョドルはくすくすと美しく笑った。
「そういうことにしといても面白いけど、さすがにそこまで卑屈になられると可哀想だからね……。実を言えばそういう意味では私は女性に全く興味がなくてね。ミョーネもそれを分かっていたし、子どもの頃から本当に……お互いに姉妹のような存在だったと……私はそう思っているよ」
そう言った声の最後は少しだけ切なげで、私は思わず顔をしかめたまま返事に迷ってしまった。……そうだと言われれば、そうなのかもしれない。
「姉妹?」
恐る恐る聞き返すと、しかしリョドルは真面目なようだった。どこか遠い目で、霊廟の壁の古代文字を見つめている。
「ああ……彼女は、私を女として接してくれる本当に数少ない友人だった。せめて、心だけでも救ってやりたかった……」
まだうっとりとした様子で緩く笑みを浮かべながら、リョドルはミョーネのことを思い出しているようだった。
〟
(95話「再び会う世界」より)
最終更新日時: 2025/03/31 18:08
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