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キャラクタープロフィール

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当然夜間でも警備に回っている兵士はいる……、それに出会ってしまえば、警報を鳴らされる前に迅速に始末しなければならなかった。ここに至って活躍したのは思いのほかリョドルであった。
薬を作るばかりが能力だと思っていたリョドルは、しかし実戦の地に投入しても驚くべき力を発揮した。
どういう理屈かはいまいち分からないが、彼の魔術は魔法陣から離れた位置への作用を容易く可能にする。その陣も大掛かりなものでもなく、魔道文字は三つ四つが書かれているだけだ……私には読むことのできない、ズミの古代文字から流用した魔道文字だが。
あらかじめ手元に用意した小さな魔法陣、そこに彼がサーシェという祈りの言葉と共に魔力を流し込むと、そこから離れた位置にいる者へもそれが風のように流れ込む。
彼が得意とするのは人間の精神に干渉する精神魔術……、たちまちに敵は昏迷し、あるいは意識朦朧となってその場で無力化してしまう。
リョドルはソル・サークルを使わない代わりに、紙に魔法陣を書いたものを本の形に束ねて持っていた。トレンティアの魔法でそれをやると本ごと魔術に巻き込まれてしまうので使えない手法だ。
分厚い本を開いて祈りと共に敵の精神を奪っていく、その妖しい美貌を湛えた黒髪の魔道士は、ああ、いかにもズミらしい情緒を纏っているではないか。
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(122話「ナート攻略作戦」より引用)
唯一リョーが戦場で活躍するシーン。
最終更新日時: 2025/03/07 00:25
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