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コラボコメント

エレアノールの誕生日にかこつけて本編小説の挿絵っぽいシリーズ。相変わらず誕生日感はない。


「なぜ……、なぜあなたがここにいるのです! 母上!?」
 カルロスの声だった。怒りか、戸惑いか、あるいはそれに準ずる何かの感情に張り詰め、漲った震えた声。何を戸惑っているというのか、この期に及んで!
 私は床の上に落ちた自分の剣を見つけた。それを無我夢中で掴んだ。まだ攻撃は来ない、まだ体は動く。それを掴み上げて、体を起こして……、フォスの血門術が駆け抜けていった空を切るように、その懐に飛び込むようにして。
 短く切った髪の下にあるのはジャックと瓜二つの相貌……、今はそれを苦渋に歪めた息子の顔を、確かにこの両目ではっきりと捉えた。
 この継母に向かって攻撃魔術を撃つこともできず、まるで呆気にとられたように、無防備にそれを受け入れさえした彼をまるで抱きしめるように……私は剣を振った。
 飛びかかり、彼の腹に思い切り蹴りを入れる。私の体重は軽いが、それでも飛びかかった勢いのまま彼を床の上に打ち倒すことはできた。
 その体の両脇に足をつけて上にのしかかり、両手で握った剣は刺突の構えで突き出す、彼の喉元めがけて……、だけどその寸前でぴたりと刃を止めたのは、別に、情けをかけて殺せなかったわけでは、ない。
「動くな! カルロス・カディアルの首が惜しければ!」
 私はそう声を張り上げた。広範囲に迸っていた魔術の中で攻撃もできず戸惑っていた周辺の雑兵に向かってだ。
 当然そう怒鳴られて迷わず攻撃ができる者はいなかっただろう。兄君たるクラウスが裏切った今、カルロスは代わってカディアル家の代表ともなり得る将軍だ、失うわけにはいかない。
 私にのしかかられ、その剣の切っ先を突きつけられたカルロスは蒼白な顔をしていた。敵に制圧された、その実感すらないのかもしれない。

(122話「ナート攻略作戦」より)

エレナハピバ!

最終更新日時: 2025/05/28 00:10

コラボキャラ

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エレアノール

ちなみにエレナという名前は彼女が作中で名乗る偽名です。

敬法

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アーティスト

敬法 NEO

きょうほうって読みます。煩悩まみれの坊主です。

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