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コラボコメント
パウルのキャラ投稿できたので過去絵より一枚。
ただのカップル絵です。
以下本編小説より一部抜粋
「まったくおかしな奴だな……。私はもう四十になるおっさんだぞ、そんなの相手しなくても君ならいくらでも女を選べるだろうに」
墓石を覆う苔をむしりながら視線も向けずに言ってくる。
「そんな卑屈になるなよ。お前はへたな女よりよっぽど美人だし、俺はお前みたいな教養の深い女が好きなんでね。王族やってると権力目当てとスパイ目的で近付いてくる美女はゴマンといるからな、そういうのウンザリするんだ。その点お前は身元も確かだし権力も能力も自前で持っているし、それでいて俺のこと大好きだし……」
今度は草刈り用の鎌が飛んできた。さすがに刃物がくると咄嗟に身を躱してしまう。返すとまた飛んできそうなので私は草刈り作業へと移った。
「だからって男色なんて醜聞になるだけだよ。男同士で愛し合ったってお互い傷付くばかりさ」
そう切なげに語る、その声を振り向いてもこちらからは顔を背けていた。艷やかな黒髪のつむじが寂しそうに揺れているだけだ。
男だけに恋をして四十年生きてきた“彼”が、今までどれほど傷付いてきたのかは察することもできないし、それを慰めることも私などには叶わないのだろう。
その埋まらない溝を埋められるのはきっと言葉じゃない、ただ抱きしめてその体温を分かち合いたい、しかし今ここで実行したらきっと雑巾でしばかれるのだろう。
「そんな悲しいこと言うなよ」
そんな文句を言って、あとは黙々と草を刈ることしかできなかった。
そう私がしょんぼりとしてしまったのをリョドル(※)も察したのだろうか、今度は気まずそうな様子でちらちらとこちらを振り向いてくる。
……そうやって自分で卑下しておいて、そう言うならと構うのをやめると途端に不安そうに甘えてくるのだ、まったく面倒臭くて可愛い女である。
(143話「心に生きるということ」)
※リョーの本名
ただのカップル絵です。
以下本編小説より一部抜粋
「まったくおかしな奴だな……。私はもう四十になるおっさんだぞ、そんなの相手しなくても君ならいくらでも女を選べるだろうに」
墓石を覆う苔をむしりながら視線も向けずに言ってくる。
「そんな卑屈になるなよ。お前はへたな女よりよっぽど美人だし、俺はお前みたいな教養の深い女が好きなんでね。王族やってると権力目当てとスパイ目的で近付いてくる美女はゴマンといるからな、そういうのウンザリするんだ。その点お前は身元も確かだし権力も能力も自前で持っているし、それでいて俺のこと大好きだし……」
今度は草刈り用の鎌が飛んできた。さすがに刃物がくると咄嗟に身を躱してしまう。返すとまた飛んできそうなので私は草刈り作業へと移った。
「だからって男色なんて醜聞になるだけだよ。男同士で愛し合ったってお互い傷付くばかりさ」
そう切なげに語る、その声を振り向いてもこちらからは顔を背けていた。艷やかな黒髪のつむじが寂しそうに揺れているだけだ。
男だけに恋をして四十年生きてきた“彼”が、今までどれほど傷付いてきたのかは察することもできないし、それを慰めることも私などには叶わないのだろう。
その埋まらない溝を埋められるのはきっと言葉じゃない、ただ抱きしめてその体温を分かち合いたい、しかし今ここで実行したらきっと雑巾でしばかれるのだろう。
「そんな悲しいこと言うなよ」
そんな文句を言って、あとは黙々と草を刈ることしかできなかった。
そう私がしょんぼりとしてしまったのをリョドル(※)も察したのだろうか、今度は気まずそうな様子でちらちらとこちらを振り向いてくる。
……そうやって自分で卑下しておいて、そう言うならと構うのをやめると途端に不安そうに甘えてくるのだ、まったく面倒臭くて可愛い女である。
(143話「心に生きるということ」)
※リョーの本名
最終更新日時: 2024/11/15 22:49
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