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イラスト説明
▼2023年12月_マンチャレクリスマスのストーリー
※作品公開まで見ないでね!wheelとのお約束だよ!
今日は12月24日。クリスマスイブ。
ぼくは仕事終わりに足繁くゲーセンに通っている。そして今日は最近のお気に入りの店に足を運んだ──。
ぼくは子どもの頃からゲーセンが好きだ。
家族に連れて行ってもらってUFOキャッチャーをした思い出。中学のときは子どもだけで行くは禁止されてるのにこっそり友達と格ゲーしに行ったっけなあ。社会人になる前は音ゲーにハマってノーミスでクリアできるまで延々とプレイした…。
今はそうだな、仕事の憂さ晴らしかな?
近頃はだんだんとゲームに熱中できなくなってきたのを感じる。それでもゲーセンに通うのは、ぼくにとってここが憩いの場所だから。
(あれ?今日はあの子はいないのか…。)
最近なんとなく立ち寄ったゲーセンには、金髪の美人な女の子がいつも入り浸っている。ぼくがその店に行くたびに見かけるので、意識するつもりはなかったが今は気になる存在なのだ。
今来ているこのゲーセンがまさしくあの子の存在を知った場所。話しかけてはいない、ぼくのことは多分知らないだろう。それでも、このゲーセンのこの空間を同じ時間に共有できるのがなんとなく嬉しく感じていた。
独り身のぼくにとってクリスマスイブの街明かりは眩しすぎる。恋人向けのイベントは、普段気にも留めていない寂しさを浮き彫りにする。
今日のぼくは寂しかった。ゲーセンに行ってあの子に会いたかった。なのに──。
どのコーナーを探しても見つからない。今日はあの子はいないようだ。
…なんか、もういいや。
やっぱりあの子も今日は恋人と楽しく過ごしているんだ。
いつもはゲーセンにいるくせに──。
なんだか勝手に腹立たしくなる自分に嫌気がさし、ぼくは店を出た。
街は本当に眩しくて、視界が潤んで…。
大通りを歩くのを避け、情けない目を拭いながら横道に入った時──。
「ぎゃっ!」
誰かにドンっとぶつかる。
「すみませ「ごめんなさい!」」
言葉を発した瞬間、お互いに目が合う。
「あっ(この人)「あれぇ?ゲーセンのお兄さん??」」
確信した。ゲーセンのあの子だ!
何かのイベント?サンタの格好に大きな袋を抱えて急ぎ足の様子だった。
「ごめんなさい、急いでて…!私サンタガールでみんなにプレゼント配ってるんだよね。…あっ!これ言っちゃいけないんだった!!」
てんやわんや、バタバタしながら彼女は大袋から小包みを取り出す。
「このことはヒミツだよ!」
そう言うとぼくの手に小包みを渡す。
「はい!口封じ!またゲーセンでね!」
少しいたずらな目をぼくに向け、ニコッと微笑む。
唖然とするぼくを尻目に彼女はバタバタとイブの夜に消えて行った。
ゲーセンを出るまで勝手にイラついていたのに、さっきのバタバタですっかりわけがわからなくなった。
そしてやっと落ち着いた頃に彼女の姿を思い返すと、なんだか胸がドキドキしているのを感じた。
「クリスマスだし、せっかくだからチキンでも買うか…。」
ささやかながらクリスマスを満喫しよう。そう思ってコンビニへと歩き出したぼくは、自然といつの間にか心が晴れているようだった。
──その手にプレゼントの小包みを抱えて、メリークリスマス!
皆さまに幸せなクリスマスがやってきますように!
※作品公開まで見ないでね!wheelとのお約束だよ!
今日は12月24日。クリスマスイブ。
ぼくは仕事終わりに足繁くゲーセンに通っている。そして今日は最近のお気に入りの店に足を運んだ──。
ぼくは子どもの頃からゲーセンが好きだ。
家族に連れて行ってもらってUFOキャッチャーをした思い出。中学のときは子どもだけで行くは禁止されてるのにこっそり友達と格ゲーしに行ったっけなあ。社会人になる前は音ゲーにハマってノーミスでクリアできるまで延々とプレイした…。
今はそうだな、仕事の憂さ晴らしかな?
近頃はだんだんとゲームに熱中できなくなってきたのを感じる。それでもゲーセンに通うのは、ぼくにとってここが憩いの場所だから。
(あれ?今日はあの子はいないのか…。)
最近なんとなく立ち寄ったゲーセンには、金髪の美人な女の子がいつも入り浸っている。ぼくがその店に行くたびに見かけるので、意識するつもりはなかったが今は気になる存在なのだ。
今来ているこのゲーセンがまさしくあの子の存在を知った場所。話しかけてはいない、ぼくのことは多分知らないだろう。それでも、このゲーセンのこの空間を同じ時間に共有できるのがなんとなく嬉しく感じていた。
独り身のぼくにとってクリスマスイブの街明かりは眩しすぎる。恋人向けのイベントは、普段気にも留めていない寂しさを浮き彫りにする。
今日のぼくは寂しかった。ゲーセンに行ってあの子に会いたかった。なのに──。
どのコーナーを探しても見つからない。今日はあの子はいないようだ。
…なんか、もういいや。
やっぱりあの子も今日は恋人と楽しく過ごしているんだ。
いつもはゲーセンにいるくせに──。
なんだか勝手に腹立たしくなる自分に嫌気がさし、ぼくは店を出た。
街は本当に眩しくて、視界が潤んで…。
大通りを歩くのを避け、情けない目を拭いながら横道に入った時──。
「ぎゃっ!」
誰かにドンっとぶつかる。
「すみませ「ごめんなさい!」」
言葉を発した瞬間、お互いに目が合う。
「あっ(この人)「あれぇ?ゲーセンのお兄さん??」」
確信した。ゲーセンのあの子だ!
何かのイベント?サンタの格好に大きな袋を抱えて急ぎ足の様子だった。
「ごめんなさい、急いでて…!私サンタガールでみんなにプレゼント配ってるんだよね。…あっ!これ言っちゃいけないんだった!!」
てんやわんや、バタバタしながら彼女は大袋から小包みを取り出す。
「このことはヒミツだよ!」
そう言うとぼくの手に小包みを渡す。
「はい!口封じ!またゲーセンでね!」
少しいたずらな目をぼくに向け、ニコッと微笑む。
唖然とするぼくを尻目に彼女はバタバタとイブの夜に消えて行った。
ゲーセンを出るまで勝手にイラついていたのに、さっきのバタバタですっかりわけがわからなくなった。
そしてやっと落ち着いた頃に彼女の姿を思い返すと、なんだか胸がドキドキしているのを感じた。
「クリスマスだし、せっかくだからチキンでも買うか…。」
ささやかながらクリスマスを満喫しよう。そう思ってコンビニへと歩き出したぼくは、自然といつの間にか心が晴れているようだった。
──その手にプレゼントの小包みを抱えて、メリークリスマス!
皆さまに幸せなクリスマスがやってきますように!
最終更新日時: 2023/12/21 01:18
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