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イラスト説明
「……気に入らない」
誰も通らない薄暗い廊下の端。
そこに佇む男、霹靂(はたた)はそう呟いた。
「主があの男を眷属にしてからおかしな事だらけだぜぇ……俺がいるってのによぉ……」
霹靂の主は神が最初に作った始祖天使と呼ばれる天使で、神が行方不明となった現在では周りから武神と呼ばれるようになったクロウという名の黒天使の男だ。
俺はその唯一の眷属だった筈だった。
なのに主は新しい眷属を作った。
ーー俺に何も言わずに。
主は眷属となる者に己の魔力と生まれ持った天使の性質を分け与え契約する。
格上の天使から格下の天使に行われるソレは裏切りをしない絶対的な部下を作る行為でもある。
契約には互いの同意が必要であり、通常は心からの同意が無ければ契約は成されない。
故に眷属は主に支配される事を当たり前と考え、主を親のように慕い忠誠心と依存心を高く持つ。
「……なのに、様子がおかしくねぇかぁ?」
主が連れて来た新しい眷属……識(しき)は主を恐れている。
顔は整ってて殴りたくなるようなニヤけた面だが俺にはわかる。
「アレは命を握られてるヤツの目だなぁ」
破壊の性質を主から貰った俺にはわかる。
死の淵に立った者の怯え方。
大事なモノを失い希望を潰されて絶望する目。
壊れかけながらもあがく脆い目だ。
正直アレを見た瞬間俺の中の破壊の性質が擽られてゾクゾクした。
壊してぇ。全ての絶望を引き摺り出して悲鳴を上げさせて泣かせてゆっくり時間をかけてぶっ壊してぇ。
主がアレを壊す許可だけはくれねぇから我慢してるがアレは堪らねぇなぁ。
だが眷属としてのアレは有り得ない。
俺みたいに主と手を触れさせ魔力を共有することもしない。
アレが主に懐かないし主もアレを大事にしない。
(一体どうやって魔力供給されてんだ?)
全く主に触れずに魔力供給されるなんて有り得ないのに識には主の魔力を毎日感じている。
その上主にもアレの魔力を感じ始めて俺としては気持ち悪くて仕方ねぇ。
アレの魔力は俺が1番苦手なタイプだと何となくわかる。
「正直、理解したら終わるよなぁ、アレはよぉ……」
多分、俺が主から離れる夜の時間辺りになんかあるんだろうが、
主のプライベートな時間なんざ、俺がやらかして仕置きされる時くらいしか触れる事はねぇし。
なんかあるならそん時ぐらいだろうとは思うが正直そっちに首を突っ込んで無事に戻れる気もしねぇ。
知り過ぎたら消されるって事ぐらい俺でも解る。
「だが、納得はしてぇんだよなぁやっぱり。
主の俺への態度も変わってきた気がするしよ……」
主になら何をされても構わない気持ちはあるが、最近はどうも様子がおかしい……。
アレ……識を連れて来てからだ。
識が来てから主の俺への扱い方が変わってきた。
「うん、いや、主になら何されても構わないけど、流石にあれは……なぁ……」
主が俺に罰を与える時にやる事だから俺がソレを最も苦手としている事くらい主は知ってる筈なんだがなぁ……?
少し顔が熱くなった気がして手で扇ぐ。
「わっかんねぇ。マジわっかんねぇなぁ……」
主が俺を呼ぶ気配を感じる。
休憩はそろそろ終わりのようだ。
ここの所最近ずっと考えている事を心の隅に押しやりながら俺は主の元へ向かう。
「あーあ、また主になんか壊していいかおねだりしてみっかぁー」
誰も通らない薄暗い廊下の端。
そこに佇む男、霹靂(はたた)はそう呟いた。
「主があの男を眷属にしてからおかしな事だらけだぜぇ……俺がいるってのによぉ……」
霹靂の主は神が最初に作った始祖天使と呼ばれる天使で、神が行方不明となった現在では周りから武神と呼ばれるようになったクロウという名の黒天使の男だ。
俺はその唯一の眷属だった筈だった。
なのに主は新しい眷属を作った。
ーー俺に何も言わずに。
主は眷属となる者に己の魔力と生まれ持った天使の性質を分け与え契約する。
格上の天使から格下の天使に行われるソレは裏切りをしない絶対的な部下を作る行為でもある。
契約には互いの同意が必要であり、通常は心からの同意が無ければ契約は成されない。
故に眷属は主に支配される事を当たり前と考え、主を親のように慕い忠誠心と依存心を高く持つ。
「……なのに、様子がおかしくねぇかぁ?」
主が連れて来た新しい眷属……識(しき)は主を恐れている。
顔は整ってて殴りたくなるようなニヤけた面だが俺にはわかる。
「アレは命を握られてるヤツの目だなぁ」
破壊の性質を主から貰った俺にはわかる。
死の淵に立った者の怯え方。
大事なモノを失い希望を潰されて絶望する目。
壊れかけながらもあがく脆い目だ。
正直アレを見た瞬間俺の中の破壊の性質が擽られてゾクゾクした。
壊してぇ。全ての絶望を引き摺り出して悲鳴を上げさせて泣かせてゆっくり時間をかけてぶっ壊してぇ。
主がアレを壊す許可だけはくれねぇから我慢してるがアレは堪らねぇなぁ。
だが眷属としてのアレは有り得ない。
俺みたいに主と手を触れさせ魔力を共有することもしない。
アレが主に懐かないし主もアレを大事にしない。
(一体どうやって魔力供給されてんだ?)
全く主に触れずに魔力供給されるなんて有り得ないのに識には主の魔力を毎日感じている。
その上主にもアレの魔力を感じ始めて俺としては気持ち悪くて仕方ねぇ。
アレの魔力は俺が1番苦手なタイプだと何となくわかる。
「正直、理解したら終わるよなぁ、アレはよぉ……」
多分、俺が主から離れる夜の時間辺りになんかあるんだろうが、
主のプライベートな時間なんざ、俺がやらかして仕置きされる時くらいしか触れる事はねぇし。
なんかあるならそん時ぐらいだろうとは思うが正直そっちに首を突っ込んで無事に戻れる気もしねぇ。
知り過ぎたら消されるって事ぐらい俺でも解る。
「だが、納得はしてぇんだよなぁやっぱり。
主の俺への態度も変わってきた気がするしよ……」
主になら何をされても構わない気持ちはあるが、最近はどうも様子がおかしい……。
アレ……識を連れて来てからだ。
識が来てから主の俺への扱い方が変わってきた。
「うん、いや、主になら何されても構わないけど、流石にあれは……なぁ……」
主が俺に罰を与える時にやる事だから俺がソレを最も苦手としている事くらい主は知ってる筈なんだがなぁ……?
少し顔が熱くなった気がして手で扇ぐ。
「わっかんねぇ。マジわっかんねぇなぁ……」
主が俺を呼ぶ気配を感じる。
休憩はそろそろ終わりのようだ。
ここの所最近ずっと考えている事を心の隅に押しやりながら俺は主の元へ向かう。
「あーあ、また主になんか壊していいかおねだりしてみっかぁー」
最終更新日時: 2024/06/02 15:53
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