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イラスト説明
私は、キリアン モントロン
まぁ、私の名前などなんだってよいのです。
オードラン家にお仕えする執事でございます。
昔話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?
若い頃の私は、街で働いておりました。
独立して新しく店を始めるつもりだったのですが
建てたばかりの店は火事で跡形もなくなってしまい、借金だけが残りました。
絶望した私は、死に場所を求め森を彷徨っていたのですが
その森の中でうずくまる女性がおりました。
彼女は
「森の奥のお屋敷まで連れて行ってください。子供が産まれそうなの!」
と必死に頼みました。
私は、自分の状況も忘れ、慌てて彼女を抱き上げました。
必死すぎてどうやって屋敷まで辿り着いたのかも忘れてしまいましたが、どうにか屋敷まで辿り着きました。
奥様が帰ってこないことを心配したメイドが屋敷の前で待っており
こちらの姿が見えると駆け寄ってきました。
「奥様!まぁ、陣痛がきたのですね。
すぐに準備いたします!」
そこは、貴族オードラン家のお屋敷で
彼女は、オードランの奥様だったのです。
オードランの旦那様も出てきて
私に「あなたが妻を助けて下さったのですね!ありがとうございます!さぁとりあえず中へどうぞ」と招き入れて下さいました。
大きな振り子の柱時計のある部屋で
旦那様と私は子供が無事に産まれるのを祈っておりました。
旦那様は、部屋を歩き回りながら
「大丈夫だ。うちには経験豊富な産婆さんもいるからね。きっと元気に生まれてくる。」とか
「そうそう、産まれてくる子の幸せな時間を願って、新しい懐中時計も買ったんだ。まだ、時間を合わせていないんだがね。子供が産まれたらネジを巻こうと思ってるんだ」などと喋りつつも
奥様と子供が心配なようで
始終ソワソワしておりました。
なんだか、私までソワソワしてきてしまい、2人で部屋をウロウロとしていました。
なかなかに滑稽な光景でしたね。
そうして過ごしていると、ドアの向こうから、赤子の泣き声が聞こえました。
メイドがバタバタと走ってきて
「旦那様!無事お生まれになりました!女の子ですよ!すぐにお目にかかれるように準備しますので、こちらの部屋でお待ちくださいね!」
汗だくのメイドは、ニコニコの笑顔でまた、奥様の部屋に戻っていきました。 続く
まぁ、私の名前などなんだってよいのです。
オードラン家にお仕えする執事でございます。
昔話をさせて頂いてもよろしいでしょうか?
若い頃の私は、街で働いておりました。
独立して新しく店を始めるつもりだったのですが
建てたばかりの店は火事で跡形もなくなってしまい、借金だけが残りました。
絶望した私は、死に場所を求め森を彷徨っていたのですが
その森の中でうずくまる女性がおりました。
彼女は
「森の奥のお屋敷まで連れて行ってください。子供が産まれそうなの!」
と必死に頼みました。
私は、自分の状況も忘れ、慌てて彼女を抱き上げました。
必死すぎてどうやって屋敷まで辿り着いたのかも忘れてしまいましたが、どうにか屋敷まで辿り着きました。
奥様が帰ってこないことを心配したメイドが屋敷の前で待っており
こちらの姿が見えると駆け寄ってきました。
「奥様!まぁ、陣痛がきたのですね。
すぐに準備いたします!」
そこは、貴族オードラン家のお屋敷で
彼女は、オードランの奥様だったのです。
オードランの旦那様も出てきて
私に「あなたが妻を助けて下さったのですね!ありがとうございます!さぁとりあえず中へどうぞ」と招き入れて下さいました。
大きな振り子の柱時計のある部屋で
旦那様と私は子供が無事に産まれるのを祈っておりました。
旦那様は、部屋を歩き回りながら
「大丈夫だ。うちには経験豊富な産婆さんもいるからね。きっと元気に生まれてくる。」とか
「そうそう、産まれてくる子の幸せな時間を願って、新しい懐中時計も買ったんだ。まだ、時間を合わせていないんだがね。子供が産まれたらネジを巻こうと思ってるんだ」などと喋りつつも
奥様と子供が心配なようで
始終ソワソワしておりました。
なんだか、私までソワソワしてきてしまい、2人で部屋をウロウロとしていました。
なかなかに滑稽な光景でしたね。
そうして過ごしていると、ドアの向こうから、赤子の泣き声が聞こえました。
メイドがバタバタと走ってきて
「旦那様!無事お生まれになりました!女の子ですよ!すぐにお目にかかれるように準備しますので、こちらの部屋でお待ちくださいね!」
汗だくのメイドは、ニコニコの笑顔でまた、奥様の部屋に戻っていきました。 続く
最終更新日時: 2022/06/16 18:31
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