『天雷 蒼空』の設定資料

中学生時代&過去の話(閲覧注意)
投稿日: 2022/06/01 21:47

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イラスト説明

兄妹と公園で遊んでいたとき。設置されているスピーカーから突然、キイィン、と甲高い音が鳴り響いた。金切り声のような音は耳を塞いでも、鼓膜を酷く震わせる。反響が消えた頃、思わずしゃがみ込んでいた私たちに、女性が近付いて来るのが見えた。
途端、恐怖からヒィッと声が漏れ、尻もちをつく。その頭があまりにも異様なのだ。額から赤い液体が流れ、塗りつぶされたように黒い瞳。あるはずの下顎が見当たらず。
心配してか否か、私たちに手を差し伸べてくるが、私と妹は腰が抜けてしまい、ただ震えるだけだった。すると兄が私たちを庇うようにして前に立つ。瞬間、その女性は僅かに身体を震わせ――。

"キイィヤアァァァッ!!"

至近距離からの金切り声に目を瞑り、耳を塞ぐ。刹那、私と妹の足元に、ボドッと言う音が振動として伝わる。恐る恐る目を開けると、そこには目を見開き、裂けるほどに開かれた口。首と思しき部分から流れる真っ赤な液体を溢れさせる、兄の頭。
現状を理解出来ないまま茫然としていると、隣にいた妹の悲鳴でハッと我に返る。別の場所で横たわっている身体と、カラカラと笑う異形な女性を視認した途端、底知れない恐怖と怒りが込み上げてきた。私はすぐさま立ち上がり、異形の女性に向かって走り出す。勢いそのままに殴りを繰り出すも、難無く避けられてしまって。
泣き喚く妹と息絶えた兄を背に、叫びながら拳を振り回す。何度目かの攻撃の際、異形の女性は避けると同時に腕を振り下ろしてきた。それが見事に右顔面へと直撃する。痛みのあまり地面に倒れ込み、のたうち回る。際限のない痛みに身体は耐えきれるはずもなく……。
異形の女性が笑いながら霧のように消えていくのを最後に、意識を失った。


後日。
病室のベッドの上で目覚めた私は『兄が亡くなったこと』、『妹が恐怖やショックのあまり記憶を欠如した』と言う話を聞かされた。ふと、右目の傷痕をガーゼ越しに撫でる。本当は異形の女性が殺めたんだと言いたかった。しかし、思い留まった。
きっと、この話はしてはいけないのだと察したから。話したところで両親は信じてくれないと分かっていたから。
けれど、自分と同じように『何者』かを見える人がいるとしたら?今、この瞬間に誰かが被害にあっているとしたら?
そう考えると、心の奥底から沸々と何かが湧き上がってくる感覚に陥る。友人は勿論、見ず知らずの人であろうと助けられるくらいに私は強くなってやる。


今の僕は昔とは違う。背も伸び、バイトや双拳のおかげで筋力も人一倍ある。僕と相手の身を守る術も覚えた。
もう一度『異形の女性』に会えたなら——。待っていろ。

最終更新日時: 2023/12/07 22:47

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天雷 蒼空

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:61 :30 :16

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