ドキュメント
かつて銀河の片隅で、人知れず終焉を迎えた一つの星があった。
誰にも看取られることのなかったその死は、静かで、それでいて抗えぬ必然として宇宙に消えた。
しかしその星は、終わりと同時に始まりを願い、己の魂を光の粒子へと変えて放つ——やがてそれは地球という生命の星へとたどり着き、人間の少女として新たに生を受けた。
名は「ルキロゥ」彼女は人の命をもらった星だった。
地球は西暦3000年代――人々は精神と自然の構造を解析・運用することで、超常の術『玄導術』を手にしていた。
その術は、感情や魂と結びつき、術者の内面を映すかのように発現する。幻想でありながら理に基づいたその力は、武器として、癒しとして、そして呪いとして、人々の日常と戦場に入り混じっていた。
ルキロゥに宿された力は、宇宙の理そのものを触発するような異質のものであり、星の記憶と繋がり、言葉にならない何かを呼び覚ます。
そんな彼女が成長と共に足を踏み入れるのが、叡智と試練の交差点『玄の座』。そこは術士たちが腕を競い、学び合い、時には命を懸けて己を問う社交の殿堂。
ルキロゥはそこで多くの仲間や導師と出会い、数々の試練と衝突を経て、自分が何者なのかを模索していく。
星としての記憶と人間としての感情の狭間で揺れながら、彼女は「私」という存在のかたちを見つけようとする。
少女の姿をした星が、過去の記憶と痛みを抱えながら、何を選び、何を手放すのか。
その問いは、理における「存在の意味」そのものを問い返す。
命とは何か。赦しとは何か。孤独とは何のためにあるのか。そして、「終わり」とは本当に悲しみなのか。
——星は人となり、人はまた星を夢見る。
『星の墓碑銘』は、失われた星が残した詩であり、命を抱いた者たちが辿る祈りの記録である。
▼現在なろうにて、不定期連載中▼
【作品URL】 https://ncode.syosetu.com/n7198kj/