ドキュメント
隣から声がした。
「ひらいちゃダメって言ったのに」
不明瞭な視界の中、
イタズラにクスクスと笑う赤色が一瞬ログインする。
「でもやっぱ気になっちゃうよね〜わかる。」
身勝手な共感。癪に障る笑い声。
「一応ダメとは言ってみたけど、俺も気になっちゃったんだよね。」
薮を突いた彼は何を見たのか。
少しつまらなさそうな声色で紡ぐ。
「だからさ、ほら」
その言葉をきっかけに世界のピントがあっていく
「一緒に見てみようか。」
肩に置かれた手からはヒト科の温かみを感じた。
無機質な扉が開かれれば、そこはヒトが住むに適している空間が展開されている。
「ようこそ、倫理委員会へ。
まずはコーヒーでも飲みながら話そうよ。」
いつの間にか自分は机に座らされていて、目の前の男性はそそくさと茶の準備をしている。
「君の気になる話も、きっとここにあるよ」
そう言って出されたコーヒーは深淵を想起させる。
なぜか、蛇に睨まれたような、そんな気がした。
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【 パック説明 】
マエアシの気分で更新されるウイルスシリーズのDLC的パックです。
主にウイルス達の過去(生前)話やワクチンの話を収録していきます。
まじで不定期更新なので悪しからず。時間軸はウイルス研究所想定です。